午前0時、夜空の下で
彼はそれだけリーダーのことを大切に思っているのだろう。

おそらくそれは、時に恋人の存在すら凌ぐほどの――……絆。

「……私、もう少しリーダーと話してきます」

叱られた訳ではないものの、何だかいたたまれなくなった心は、副リーダーから目を逸らすとすぐに溜まり場を出て行った。



外に出て、ふと空を見上げた。

闇が薄れ、藍色に染まった空が目に映る。

いつの間にか、日が昇り始めていたのだ。

もう少し空の色が薄くなれば、魔族が眠りにつく時間となる。

この世界に来たばかりのころを思い出し、思わず口元が綻んだ。

最初は魔族に怯え、アルジェンたちの傍から離れることができなかったのに、今では遠く黎を離れ、こうして魔族たちと寝食をともにしているのだ。
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