午前0時、夜空の下で
「ディアマンテで反乱を起こすのは、ミルフィーユのように捕まった奴隷たちを少しでも多く解放するためだ。さすが王都は腐ってる。地方の比じゃない奴隷市場がまかり通ってんだからな。だが、そんなことをいつまでも続けていても埒が明かない。俺たちの目的はあくまで奴隷の権利回復だ。この膠着した状況を覆すには、皇族に直接現状を見せ付けるしかない」

厳しい表情でそう言い切ったリーダーに、副リーダーも頷いた。

「皇族はまだ奴隷たちが堪えられるとでも思ってるからね。ただ最近、ウィーザーの動きを活発化させたからか、見て見ぬふりができそうにないと悟ったらしい。ようやく重い腰を上げて、皇帝が他国に訪問していた第一皇子を呼び戻した」

第一皇子という言葉に、心はハッと息を呑む。

琅の第一皇子――レインだ。

心もようやく事態を把握する。

ノーラを迎えに来る余裕もないほど、急な帰国だったのだ。
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