午前0時、夜空の下で
「ジェイ……第ニ皇子の?」

思案するように黙り込んでいたキシナに問い掛けられ、心は頭を縦に振る。

「……大丈夫だ。おそらく、私は彼を知っている。入れてやれ」

キシナの言葉に心は目を丸くしたものの、兵士に許可の言葉を返すとすぐに扉は開かれた。

入って来た人物は一礼して顔を上げると、キシナの姿を認めて口元を緩める。

「元気そうだな」

ジェイの親しげな口調に、キシナも口角を上げた。

「お前もな。レイン皇子にココを推してくれたんだって?」

キシナの言葉に頷くと、ジェイは心に向き直り一礼する。

「えっと……」

二人の親しげな様子に心が戸惑い気味に口を開くと、ジェイは顔を上げて微かに微笑んだ。

「初めてお会いした時より、随分と成長されましたね」

「……え?」

どこかで会っただろうかと記憶を辿りながら、心は不安げな表情でキシナを振り返る。

しかし彼女も首を傾げており、答えは期待できそうにない。

「覚えていらっしゃらないと思いますよ。あなたは気を失っていたようだったので」

そこでハッと気づいたようにキシナが顔を上げた。
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