午前0時、夜空の下で
まさか実際に目にする日が来ようとは、と心は興味津々でジェイを見上げる。

「よくご存じですね。私以外にも、各国から王族が黒牙軍に配属されています。ココロ様のこともよく存じ上げておりますよ」

ジェイはどこか冷たい印象を与える外見だったが、心に対する態度は少し柔らかい。

おそらくそれは、心が妃月の傍らにいたことを知っていたからだろう。

「私が、人間だってことも……」

「もちろん存じ上げております。……ですが、瞳と髪の色は、たとえ早朝と言えど染めていた方がよろしいかと。ココロ様の色はほぼ黒に近いため、この世界では目立ちすぎます」

ジェイに静かに諭され、心は慌てて鏡を覗き込んだ。

朝であるという安心感と、黎に戻れることで気持ちに余裕ができたのか、色を変えるのを失念していたらしい。

キシナも失敗したと言いたげに舌打ちする。

「すみません、教えてくださってありがとうございます」

心が丁寧に頭を下げると、ジェイは軽く笑みを浮かべて頷いた。
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