午前0時、夜空の下で
アルジェンやクロスリードとはどのようにして知り合っただろうか。

シリアは初めて会った時どのような様子だっただろうか。

記憶に残っているのは出会ってしばらくした頃からだ。

初めての出会いは思い出せないのに、数日経ったあたりから徐々に記憶が残っている。

不自然なほど綺麗に消えていく記憶に、心は怯えた。

「もし、このままあの方に会えなかったら……」

――私は妃月さまのことを、全部忘れてしまう……?

恐ろしい考えを振り切るためにきつく目を閉じると、寝台に倒れ込んだ。

「大丈夫。明日……会える」

言い聞かせるように何度も何度も呟くうちに、心はいつの間にか眠りに就いていた。







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