午前0時、夜空の下で
「失礼いたします。お時間ですので、大広間までご案内いたします」

ゆっくりと休む暇もなく謁見の時間が来たことに、クウェンは目を見開いた。

付添いとして来ていたジェイも、一瞬動きを止めた。

「……姫は陛下と面識があったのでしたか」

やがて確認するようにクウェンが振り向けば、ジェイも感心したように頷いた。

「ずいぶん陛下が姫のことを気にかけておられるとは思っていましたが……大切にされていらっしゃったのですね。これ程早く呼ばれるとは思いませんでした」

よかったですねとジェイに微笑まれ、心は唇を噛み締めた。

やっと。

やっと会える。

急く気持ちを抑えつけて、ひたすらしとやかに回廊を歩く。

やがて見覚えのある扉が目に入り、心は思わず立ち止まった。
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