午前0時、夜空の下で
「あの方の目に止まった以上、あなたは陛下なしに生きることなどできません。……嫉妬、嫌悪、羨望、憎悪……全てをその身に受けるでしょうね」

ごくりと、心は唾を飲み込む。

「目覚めの刻……ですよ」

暗くなり始めた空を見上げ、クロスリードは眉をひそめる。

「よろしいですか、ココロ様。我々は……魔族なるものは、夜行性です。月が空に昇るとき、一日が終わり、そして新たな一日を祝います。そして今日からあなたは、王の寵愛を望むものたちにとって、何よりも目障りな存在。身の安全が保証できるまでは、決して、我々から離れてはいけません。その命、我らが主のために、お守りください」

冷水を浴びたかのように、身体が震えた。

自分ではない、と心は今更になって気づかされた。

彼らが守りたいものは、妃月が興味をもった心であって、自分自身ではないのだと。
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