午前0時、夜空の下で
「シリア嬢は、私の名をご存知ですか」
「……クロスリード様、でございます」
唐突に始まった話題に、シリアは警戒しながらも素直に答える。
クロスリードは口元だけで笑みを作ったまま、再び問い掛けを発した。
「それでは、その意味をご存じですか」
「意味、ですか? そこまでは」
言いかけて、首を振るシリアの脳裏にあるものが過る。
まさか、と青ざめた彼女に気づいているのかいないのか、クロスリードは穏やかな声で答えを明かした。
「クロスリード……“クロス”リード。天界では知らぬ者などいない名ですよ。
世界から追放された罪人は、すべてクロスと名づけられるのです。
罪人を処刑する磔の形ですね。翼をもがれ、世界からも見放され、堕ちる。
堕天と言えば分りますか」
「……クロスリード様、でございます」
唐突に始まった話題に、シリアは警戒しながらも素直に答える。
クロスリードは口元だけで笑みを作ったまま、再び問い掛けを発した。
「それでは、その意味をご存じですか」
「意味、ですか? そこまでは」
言いかけて、首を振るシリアの脳裏にあるものが過る。
まさか、と青ざめた彼女に気づいているのかいないのか、クロスリードは穏やかな声で答えを明かした。
「クロスリード……“クロス”リード。天界では知らぬ者などいない名ですよ。
世界から追放された罪人は、すべてクロスと名づけられるのです。
罪人を処刑する磔の形ですね。翼をもがれ、世界からも見放され、堕ちる。
堕天と言えば分りますか」