午前0時、夜空の下で
『お前が、世界一の美女と名高い姫?……この程度の美貌とは、な。まぁいい。暇潰しにはなるか』

初めて出会った彼の君は、自分など足元にも及ばないほど、美しくて。

嘲笑う言葉など、耳に入らなくて。

彼の黒曜の瞳に、己の姿が映っているだけで、至福を味わえた。

「……許さない」

グッと唇を噛み締め、深紅の瞳が見つめる先は王の城。

怒りで蠢いた彼女の魔力が、ピシリと部屋の鏡を割る。

鈍く輝くその鏡は、割れても尚、彼女の醜く歪んだ姿を映し出していた。









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