午前0時、夜空の下で
息を呑むシリアに、残酷なまでに美しい笑みを向けて、クロスリードは言った。

「彼女は天族の血を持っていらっしゃる。すでに陛下の身体は毒に犯されてしまったのです。
これ以上、彼女を陛下に近づけるわけにはいきません。彼女が陛下に近づこうとするなら、私は何度だって彼女の命を狙います。
……今までも、これからも」

「ココロ様を殺そうとしていたのですか。まさか、カザリナ様の件も」

「陛下は昔から、私の好きなようにさせてくれます。夜会の日、カザリナ様に協力を仰いでココロ様を城から排除した時も、夜族を使ってココロ様を殺そうとした時も……陛下は動かなかった。
ココロ様を、私に認めさせるつもりだったのでしょう。ココロ様の人を巻き込む力や運命すらも変える強運を、私は認めないわけにはいきませんでした」
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