午前0時、夜空の下で
振り向いた先に佇んでいたのは、匂い立つような色気を醸し出す美女だ。

畳にまで届いて波打つほどに長い白金の髪に、金色の瞳。

妃月と並ぶほどの壮絶な美貌の持ち主だが、よくよく見てみると顔立ちは東洋の風貌であり、心に微かな親近感を抱かせた。

ざっと視線を巡らせれば、朱い袴に煌びやかな打掛を羽織っている。

十二単ほど重々しくはないが、絢爛豪華な魅力を身に纏っていた。

そして背中に、天使のように見事な純白の翼を生やしていたのである。

心が無言で女性を観察していると、相手も同じように心を観察していたようで、微かな溜息をついた。

「美しいのう。これがかの有名な十六夜姫の御魂か。妾もこれほどに美しい御魂を見るのは初めてじゃ」

「あの……」

眉を垂れて心を見つめる女性に、心は戸惑って声を上げる。
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