午前0時、夜空の下で
心は目を瞠って固まった。

皇極が口にした内容は、カルマに突きつけられた言葉とまったく同じ内容であった。

恐ろしさに震える心を目にしても、皇極は口を閉ざさない。

「占いは当たった。黎稀王のもとに剣を携えた若者が現れたのじゃ。
魔力は黎稀王ほどではないにしろ、他の魔族を圧倒するほどの強い魔力だったそうじゃ。
その者と対面した黎稀王も、何か感じるものがあったのであろう。
躊躇うことなく、自ら剣をとり己を貫いたと言われておる」

心の身体が震えだす。

恐ろしい運命が急速に近づいてくることを感じていた。

もう――逃げることは許されないのか。

「……黎稀王の死後、新たな王となった者――冷泉王には、すぐに変化が訪れた。
まず魔力が格段に強くなったのじゃ。剣を通して魔力を受け継いだようじゃな。
そして何より、王となった瞬間、その者に理性が生まれた」
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