午前0時、夜空の下で
感情を削ぎ落した声音に、心の背筋から冷や汗が伝う。

クロスリードの言葉に動揺を見せたのは心だけではなかったのか、瞳を揺らしたアルジェンの剣をクロスリードは力任せに跳ね飛ばした。

その脇をすり抜けて、クロスリードの剣先が心を貫こうと差し迫る。

「心様っ!」

心を庇うためにカルマが心を抱き寄せ、控えていた夜族によってクロスリードは大広間の中央へと投げ倒される。

夜族は主の命を狙った者に容赦はしない。

床に叩きつけられたクロスリードは、心が止める間もなく夜族の持つ剣によって貫かれた。

「クロスリードさん!!」

悲鳴を上げた心は、カルマを押し退けクロスリードに駆け寄るが、白石の床で静かな広がりを見せる紅に、なす術もなく立ち尽くした。
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