午前0時、夜空の下で
心の中に、その時の記憶は残っていない。

だが、心の中にある何かが、言葉にならぬ喜びに震えたことを思い出した。

魂が、歓喜の声を上げた気がしたのだ。

「すべてを陛下から聞いた時、まるで呪いのようだと思いましたよ。永遠に王を縛り続ける呪いだと。
だから私は陛下があなたを連れ帰ったと知って、あなたを殺そうと決めました。
カザリナ様に協力していただいて、あなたを城から追い出し、夜族にあなたの殺害を依頼して。
しかしあなたは生き延びた。何度殺そうとしても、誰かがあなたを守るのです。
運命すらもあなたの味方だったのか……」

諦めたようにクロスリードは微かな笑みを見せる。

ひどく疲れたような表情は、彼が死の淵に立っていることを否応なく示していた。
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