午前0時、夜空の下で
クロスリードは言葉を切って咳き込むと、真っ赤な血を吐き出した。
手を貸そうと身動きした心を、強い視線でその場に縫い止め、クロスリードは決死の言葉を口にする。
「――あの方が王でない世界を、私は生きたいとは思わない」
微動だにできない心の前で、クロスリードはゆっくりと目を閉じ……やがてすべての動きを止めた。
彼の時が、止まった瞬間だった。
両手で顔を押さえて心は俯く。
クロスリードは心を認めることができず命を狙ったのだろうが、心はクロスリードを慕っていた。
魔界に来たばかりで何の知識もない心に、多くの知識を与えてくれたのはクロスリードだ。
腹の内で何を考えていようと、クロスリードは心が魔界で馴染めるよう気を配ってくれた。
その優しさのすべてが嘘だとは思えない。
手を貸そうと身動きした心を、強い視線でその場に縫い止め、クロスリードは決死の言葉を口にする。
「――あの方が王でない世界を、私は生きたいとは思わない」
微動だにできない心の前で、クロスリードはゆっくりと目を閉じ……やがてすべての動きを止めた。
彼の時が、止まった瞬間だった。
両手で顔を押さえて心は俯く。
クロスリードは心を認めることができず命を狙ったのだろうが、心はクロスリードを慕っていた。
魔界に来たばかりで何の知識もない心に、多くの知識を与えてくれたのはクロスリードだ。
腹の内で何を考えていようと、クロスリードは心が魔界で馴染めるよう気を配ってくれた。
その優しさのすべてが嘘だとは思えない。