午前0時、夜空の下で
魔剣はカタカタと震え続け、まるで興奮しているように見える。

魔王の血を啜り続けてきた魔剣は、近づく魔王の気配に反応しているのだろうか。

それが妃月の血だと思うと、心は魔剣を投げ捨てたい気持ちに襲われた。

だがそんな行動が許されるはずもなく、目の前に見えた光景に心は息を呑んだ。

開け放たれた扉は途方もないほど大きく、見上げても扉の終わりがわからない。

まるでそこだけぽっかりと異空間が鎮座しているかのようだ。

扉の内側からひんやりとした空気が漂ってきて、心は微かに震えた。

「こちらが終の間です」

アルジェンに促されて、扉の内側へと目を向ける。

魔力に満ち溢れたそこには、夢のような幻想世界が広がっていた。
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