午前0時、夜空の下で
そのことに気づいて心は怯えたが、どうすることもできず新月に踊らされた。

だが体力のない心に妃月の剣は重く、いくら新月に操られていても動きから徐々に俊敏さが失われていった。

そして水に足をとられた一瞬の隙に、心の肩が熱い熱に犯される。

妃月の剣が、ようやく心を捉えたのだ。

「いっ……つぅ……」

襲い来る激痛に、悲鳴すら上げることができない。

心が傷を負った所為か新月の支配が消えたので、剣を捨てて切られた肩を押さえると水張りの床に崩れ落ちた。

溢れる血は腕を伝い、流れ出た血によって水張りの床が紅く染まり始める。

むせ返るような血の香りが終の間に広がった。

全身から汗が吹き出し、肩から先は痺れを感じて動かすことすらままならない。

――ああ、殺される。
< 512 / 547 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop