午前0時、夜空の下で
私も逢いたかったのだと涙声で訴えれば、妃月は静かに心の髪を撫でた。
落ち着かせるように、何度も、何度も。
頭から足先まで、すっぽりと包まれているような感覚に陥り、身体から力が抜けてゆく。
もう離れたくないと、心は縋った腕に力を込めた。
しかし妃月は心の耳朶に口唇を寄せると、抱き寄せていた腕から力を抜き、嫌がる心を宥めつつも引き剥がした。
「離さないで……。妃月さま、みんな怖いことばかり言うんです。魔王さまは妃月さまだけなのに……」
駄々をこねるように首を振ると、妃月は両手で心の顔を包み込んだ。
しっかりと互いの瞳を合わせて、妃月は穏やかに微笑む。
初めて見る優しい表情に、心は目を奪われた。
落ち着かせるように、何度も、何度も。
頭から足先まで、すっぽりと包まれているような感覚に陥り、身体から力が抜けてゆく。
もう離れたくないと、心は縋った腕に力を込めた。
しかし妃月は心の耳朶に口唇を寄せると、抱き寄せていた腕から力を抜き、嫌がる心を宥めつつも引き剥がした。
「離さないで……。妃月さま、みんな怖いことばかり言うんです。魔王さまは妃月さまだけなのに……」
駄々をこねるように首を振ると、妃月は両手で心の顔を包み込んだ。
しっかりと互いの瞳を合わせて、妃月は穏やかに微笑む。
初めて見る優しい表情に、心は目を奪われた。