午前0時、夜空の下で
「俺はお前が何にも支配されず、自由に生きてほしいと願っていた。だからこそすべての権力を与えたんだ。
王位の重圧は俺が負い、お前にはただ魔界で何にも縛られず生きてほしかった。
お前はそれをわかってくれていると、思っていたんだ……愚かにも。
お前が俺の後を追って死んだ時、俺がどれほど衝撃を受けたか、お前にはわからないだろう」

私にかけられた言葉だ、と心は悟った。

十六夜と呼ばれていた頃の――私に。

だとしたら、彼の言葉は妃月としてのものだけではなくて――。

「あなただって……何もわかっていないじゃない。王位も権力も……自由も、私には必要ない。
私に必要なのはあなただけ。一緒にいたい、ただそれだけを願ってきたのに……。
あなたのいない世界を生きろというの? ようやく逢えたのに……もう離れるのは嫌!」
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