午前0時、夜空の下で
魂が震え、奥底にしまっていた感情が怒濤のごとく溢れ出す。

願いはずっと一つだけなのに、どうしてたった一つの願いすら叶わないの。

「俺の存在に依存しなくとも、お前はもう生きていけるだろう。魔王になりたければなればいいし、嫌ならならなければいい。
魔界で暮らしてもいいし、人間界に戻ってもいい。俺がいなくても、誰もお前を傷つけることはできない。
お前はもう、自由なんだ」

妃月が口にした内容を耳にして、心は凍りついたように動きを止めた。

「……まさか、ずっとそう思っていたの? 天界から来た私には拠り所がないから、あなたに縋っていたのだと……そう思っていたということ!?」

その通りだろう、と妃月が寂しさを湛えた瞳で心を見つめる。
< 518 / 547 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop