午前0時、夜空の下で
やがて呼びかける声が擦れ始め、心は動きを止めた妃月の胸に顔を埋めた。
――どうしてこのひとが死ななければならないの。
血に染まった手で妃月の身体をそっと撫で、深々と突き刺さったままの新月に気づいた。
彼の身体を未だに貫いている新月の存在が忌々しい。
心は刀身に手を伸ばすと、己の手が傷つくのも気にせず力の限り引き抜く。
せき止められていた血が吹き出し、心の頬にも血飛沫が跳ねた。
傷口に手を這わせて、唇をきつく噛みしめる。
――私はこのひとがいない世界に、何の興味もない!!
何の反応も返ってこないことが哀しくて、悔しくて、どうすればいいのかわからなくて……心は静かに妃月の傷口へと顔を寄せた。