午前0時、夜空の下で
意気込んで身を乗り出した心を、リーヴルは冴え冴えとした瞳で見据えた。

『ソウ……タスカル。タダシ、アナタガマオウニナルコトガ、ジョウケン』

リーヴルの言葉を聞いた心は、凛とした表情で妃月を見下ろす。

静かに眠る顔に、そっと指を滑らせた。

乾ききれなかった血が一筋、跡をつける。

女王になる自信なんて、まったくない。

魔族のことも魔界のこともまったくと言っていいほど知らないし、まして世界の均衡なんて現実味すら湧かない。

――それでも。

「教えて。私は妃月さまと、生きたい。――同じ時を、ともに」

――自由に生きろと、好きなように生きろと、あなたは言ってくれた。

だから私は、私の望みを叶えるために、王になる。
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