午前0時、夜空の下で
『ソレデコソ、ゴシュジンサマ! トキハ、ミチタ。アノネ、チユハ――』

可愛らしいリーヴルの囀りが頭に響き、まるで霧が晴れていくかのように知識が溢れ出した。

それは天族だった頃の自分が、知り得た知識。

溢れる記憶の波とともに、心はそっと頭をかがめる。

――そうだ、思い出した。確か、治癒は……

呼吸を整え、目覚めたばかりの天力を練り上げた。

鼓動が早鐘を打ち、天力に慣れない身体が悲鳴を上げる。

それを気力で抑え、心は潤んだ瞳で妃月を見つめた。

「妃月さま……」

愛しい人の名を囁きゆっくりと顔を近づけると、紅く色づいた口唇に心のそれを合わせた。

その瞬間、身体中が歓喜の悲鳴を上げる。
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