午前0時、夜空の下で
天族も人間と同じように、唇から想いを分かち合う。

口づけを交わす二人を見つめ、心はゆっくり目を閉じた。

時を越えてなお続く、魂の結びつき。

妃月に逢いたいと、心は願った。

目覚めたら寄り添って、再び口づけを交わしたいと。





目覚めて真っ先に目に入ったのは、彫刻のように美しい美貌だった。

治癒の力が効かなかったのかと心は瞳を揺らしたが、整った口唇から微かに吐息が漏れたのに気づき、大きく安堵の溜息を落とした。

終の間には誰もおらず、扉の付近に控えていたアルジェンも姿を消している。

随分と長い眠りについてしまっていたようだ。

先程まで見ていた光景に酔ってしまったのか、なかなか頭が働かず、心はぼんやりと天井を見上げる。
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