午前0時、夜空の下で
もう一つのエピローグ
――人間界――
「……これが、あの子を巻き込んだ一連の物語です」
滝川家のリビングでようやくすべてを話し終えた佐伯は、深く頭を下げた。
「これまで黙っていたことを、深くお詫び申し上げます」
向かいに座っていた宗一郎は俯いたまま、何も言わない。
奈美は薄紅色の便箋に何度も目を走らせ、昴は妻の肩を抱いていた。
雫と翔太は、手紙を運んできた青い鳥をかまっている。
「深雪は天使のように美しい女だったが……本当に天使だったのか」
「そこも確かに驚くべき点だけど、もっとほかに言うことあるだろ」
愛する妻へと想いを馳せる父親に、昴は頭を押さえた。
彼の愛する妻は、消えた娘からの手紙を無言で読み耽っている。
「佐伯さん、あなたのお話は信じたくありませんが、心も手紙でまったく同じことを書いているのを見ると、どうやら信じるしかないようですね。
それで、娘は帰ることができるんですか」