午前0時、夜空の下で
空はどんよりと曇り、暗い灰色が広がっている。
心は空を見上げ、そういえば最近は雨ばかり降ってるな、と憂鬱な気持ちになった。
ふと、ある評論家がテレビの中で、今回の無差別殺人事件の犯人が捕まらない要因に雨を挙げていたことを思い出す。
『ここのところ、毎日のように雨が降っているじゃないですか。あれは警察にとっては痛いですよ。ほら、雨が降ると、現場にあったかもしれない証拠が流れてしまう危険性もありますし。被害者は大抵、傘をさしていますから、犯人に気づきにくいということも考えられますね』
そんな言葉を思い出すと、奈美には大丈夫だと言ったもののやはり不安になり、心は駆け足で佐伯の屋敷へと急いだ。
ほんの数分で見慣れた古い洋館へと辿り着き、いつものように鍵を開けて門の内側へと入る。
門から玄関までの道のりを走り抜けると、閉ざされたままの扉を叩いた。
「佐伯さん! 佐伯さん!!」
いつもならすぐに笑顔で扉を開けてくれる佐伯が、今日はなかなか顔を出さない。
さまざまなテレビの報道が頭を過り、扉を叩く手は徐々に力が篭る。
時間の経過とともに膨らむ、恐怖心。
心は空を見上げ、そういえば最近は雨ばかり降ってるな、と憂鬱な気持ちになった。
ふと、ある評論家がテレビの中で、今回の無差別殺人事件の犯人が捕まらない要因に雨を挙げていたことを思い出す。
『ここのところ、毎日のように雨が降っているじゃないですか。あれは警察にとっては痛いですよ。ほら、雨が降ると、現場にあったかもしれない証拠が流れてしまう危険性もありますし。被害者は大抵、傘をさしていますから、犯人に気づきにくいということも考えられますね』
そんな言葉を思い出すと、奈美には大丈夫だと言ったもののやはり不安になり、心は駆け足で佐伯の屋敷へと急いだ。
ほんの数分で見慣れた古い洋館へと辿り着き、いつものように鍵を開けて門の内側へと入る。
門から玄関までの道のりを走り抜けると、閉ざされたままの扉を叩いた。
「佐伯さん! 佐伯さん!!」
いつもならすぐに笑顔で扉を開けてくれる佐伯が、今日はなかなか顔を出さない。
さまざまなテレビの報道が頭を過り、扉を叩く手は徐々に力が篭る。
時間の経過とともに膨らむ、恐怖心。