午前0時、夜空の下で
「夜会に、参加なさらない!? な、なぜですかココロ様!」
心のために、と夜会のドレスを手にしていたメイジーは、突然の言葉に青ざめる。
その隣では、シリアが無表情で心を見つめていた。
「なぜって……妃月さまがそう言ってたから。無理しなくていいって」
だから、今日もいつも通り働くね。
そう笑顔で言い切った心に、メイジーは涙目で首を振る。
「いけません! ココロ様、本日いらっしゃるお客様のうちの一人であるカザリナ様は、我が国で一、二を争う貴族のご令嬢です。何より陛下の――……」
「メイジー」
静かに、冷静に。
シリアがにこりともせずに遮った。
「っ、……失礼しました……」
メイジーが、慌てて頭を下げる。