午前0時、夜空の下で
紅。

薔薇の紅。

――彼女の第一印象はそれだった。

いつの間にか静まり返っていたその場所で、心はただただ目を奪われていた。

心が身に纏っている深紅のドレスとは対照的な、鮮やかで艶めいた紅。

彼女――カザリナは、豊かに波打つ金髪を、真っ赤なドレスにしどけなく流したまま、ゆっくりと心のもとへ歩み寄る。

陶磁器のような白い肌。

真っ赤な明かりを思わせる瞳。

色っぽく、妖艶さを漂わせる唇。

その、強烈な美しさに。

……心は息を呑んだ。

「陛下は、自室にいらっしゃるのかしら?」

気づけば自信に満ちた瞳が、心を見下していた。
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