午前0時、夜空の下で
安心させようと、にっこり微笑んだ心を見て、彼女は唇を噛み締めた。

「……ですが、ココロ様。ご家族のこと、心配ではありませんか?」

再びもたらされた甘い毒に、心はあっさり捕われる。

「もちろん、心配。……でも、帰れないから……」

悲しそうに揺れる瞳を見て、彼女は口唇を歪めた。

「様子を見るだけなら、大丈夫ですよ。こちらへいらして下さい」

心の手を取り立ち上がると、そのまま図書館を出てさらなる城の奥へと歩き出す。

「ちょっと、メイジー?」

戸惑う心を気にも留めずある一室へと入っていく。

軋んだ音をたてて開いた扉の向こうに広がるのは、明かりもない部屋だった。

大きな窓があり、そこから月明かりが差し込んでいる。

部屋の真ん中に、何か大きな皿のようなものが置かれているだけで、それ以外は特に何もない。
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