君がいた夏
そして、クリスマスまであと3日となった、12月21日。
終業式の日だった。
私と先輩と明美と歩で一緒に校舎を出た。
いつも、校門でお別れ。
私と先輩。明美と歩。
たぶん、二人が気を使ってくれてるんだと思う。
「……じゃあ、またね!初詣は、一緒に行こうね!」
「うん!またね、明美」
「それじゃ」
「おう」
四人で手をふりながら別々の方へ歩いてく。
二人きりになってしばらく歩いてたとき
ずっと黙ってる先輩の腕を私は掴んだ。
「菜穂ちゃん?」
「なんか、あったの?………ずっと、怖い顔してる……」
「………菜穂ちゃんは、なんでもわかっちゃうんだなぁ」
「え?」
私は掴んでいた手を離そうとしたけど
そこで、先輩は私の手を逆に掴んだ。
「こないだ、二日前ぐらいにクリスマスツリーを見たの、覚えてるか?」
「……うん」
「あの日、あそこに…紀衣がいたらしいんだ」
「……え?」
私は先輩の顔を見る。
「……それで、俺のとこに電話かけてきて、問いただされた。……俺、黙ってたんだ。どっかで、こうなるってわかってたから、紀衣に黙ってた………」
先輩の手が私の手を強く握る。
「紀衣の嫉妬は、たぶん、菜穂ちゃんに矛先が向く………ごめん、俺が、俺のせいで………」