君がいた夏


桐さんは私の肩をみて
紀衣さんの腕をとる。

そのまま、肩をひねりあげてナイフを落とさせる。

すごい…

「紀衣、頭を冷やせ………」
「桐……?」
「わた、し………」

紀衣さんはそのまま、意識を失った。

この騒動でかけつけた看護師さんと医者は
私を手当てしてから
3人を別室に呼んだ。

「紀衣さんですが、重度の貧血と、おそらく精神的な面で気が立っているのだと考えます………そちらの女性は、今日はもう、会わない方がいいでしょう」

そう医者は私に向かって言った。

「……はい………」
「傷、深くはありませんが、念のため明日も来てください」
「わかりました」

そして私たちは別室を出る。

「悪い、もっと早く行ってれば良かったな」
「桐さんのせいじゃ………」
「俺のせいだよ…俺が悪い」

先輩はうつむきながら、そう言った。

「優陽、しっかりしろ」

桐さんが先輩の肩をつかむ

「一番、怖かったのは菜穂だ。お前がしっかりしなくてどうするんだよ」
「……!」

先輩の瞳が私を見据える。

「そう、だな………ありがとう桐」
「後は二人で話せよ。俺は、紀衣を見てくる」
「ありがとう」

桐さんは手をふって病室に行ってしまった。

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