君がいた夏

強くなること




あの騒動の次の日。

私たちは、病院に来ていた。

「優陽、菜穂……」

桐さんは私たちを見ると少し複雑そうに笑った。

「紀衣は?」
「いるよ、中でずっと外見てる」
「………話ができる状態か?」
「まぁ、一応はな……まだ、抜け殻みたいだけどな」

桐さんは私を見た

「傷は?」
「あ、大丈夫です……」
「そうか。……話すのか?今日も…」

桐さんは不安そうな顔で先輩を見てる。

「わかってもらいたい…」
「………わかったよ」

桐さんはドアを開ける。
そこにはベッドに座り外をずっと見てる紀衣さんがいた

「……紀衣」
「優ちゃん…………?」

ゆっくり振り返る紀衣さん

私を見てももう驚いてなかった。

「何しに来たの……」
「話に来たんだ、聞いてほしい……」
「嫌よ…だって話したら優ちゃんは、いなくなっちゃうでしょ?」
「……ならないよ。ただ、そばにはいれなくなる………………なぁ、紀衣?」
「………」

先輩が、紀衣さんの手を握る
紀衣さんの視線が先輩を見つめる。

「俺は、お前が一人になってから、そばにいてやらなきゃって責任感でお前のそばにいた。……それでも最初はいいと思ってたよ」
< 112 / 198 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop