君がいた夏


ベンチに腰かけて、先輩はすぐに病室での出来事を話始めた。

「紀衣に自分の気持ちを言った……紀衣を家族以上とは見れないことも、ずっと抱えてたこと全部伝えたよ」
「……うん…」
「笑ってた。……優ちゃんの気持ちわかってたよって笑ってた」

先輩は少し寂しそうに笑った。

「……紀衣は確かに気持ちが弱かった所もあったけど、でもそのなかに変わらない強さがやっぱりあったって思ったよ」

私がなにも言えずにうつむいてると先輩の手が
私の手をとった。

ゆっくり顔をあげると先輩の綺麗な顔立ちが
私の目をしっかり見つめていてドキッとした。

「……菜穂ちゃん、そばにいてくれてありがう。……菜穂ちゃんがいたから、俺は強くなれたし、またこうして笑ってられる……俺には菜穂ちゃんが必要なんだ…」
「先輩…」
「だから……これからもそばにいてほしい……ずっとずっと隣で笑ってて?」

先輩が私の頬を撫でる。
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