君がいた夏
「菜穂も誓ってくれ……生涯俺を好きでいて、ずっと笑っててくれると…」
先輩が私の手を持ったまま
少し熱を帯びた目で私を見つめる。
「はい、誓います」
私は当たり前のように答える。
だって、私は先輩を愛してるから。
答えなんて聞かなくったってわかりきってる
先輩は私の答えを聞くと
私の手に、視線をうつす。
「もうひとつ、プレゼント」
私もゆっくり視線をうつす
そこには…
「これ………って……」
「受け取ってくれるか?」
「………っ」
私の左手に涙がおちる。
そして、左手の薬指に光るのは
指輪。
「先輩っ……」
「泣くなよ」
「ありがとう、ございます……」
私は止まらない涙をぬぐいながら
めいっぱい笑った。
「先輩、大好きです」
先輩は目を見開いて
すぐに顔を片手で隠した。
「そういうの、反則」
そう言って、私のほっぺにキスをした。
「俺もだよ」
そうささやいた声が耳に溶けていった。
―――ずっと愛してる