君がいた夏
「え、瑛斗…どうしたの?」
「ううん、起きちゃった」
「寝ないとダメよ?」
「……うん…おやすみ……」
瑛斗はすぐに部屋に戻ってく
私は気まずくなって湯飲みを持つ
「お茶、入れるね」
立ち上がってキッチンに立っていたら
「……明美……」
後ろから歩の声が響いた。
思わず湯飲みを落としそうになった
だって、歩は私を後ろから抱き締めていたから
「………否定しなかったのは…俺でも驚いたんだ」
「え?」
「……なんでだろうな、否定したくなかった」
歩の声が耳元をくすぐる。
鼓動が大きくて私は動けずにいた
「ずっと、お前のそばにいた…菜穂と先輩が付き合いはじめてから二人で行動することも多くなって……お前の事を知るうちに…たぶん………いや」
歩が抱き締める腕に力を込める
「お前を好きになってた……」
うそ……
歩が、私を?
「今日のことも、お前が家族のためとか友達のために頑張ってる姿に、惹かれた」
「う、そ……」
「嘘じゃねぇよ…明美が好きだ」
私はちょっとずつ、歩を見つめる。
「……返事、聞かせてもらえるか?」
「わた、私も………歩がずっと、好きだった」
私は溢れる涙を押さえられずに
泣きながら思いを口にした。