君がいた夏
「今度また挨拶いくな」
「うん、ありがとう。菜穂にも知らせないとね」
「あぁ、そうだな」
私たちは少し見つめあう
「これからも、よろしくな」
先に沈黙を破ったのは歩だった。
私は勢いよくうなずく
「…菜穂たちに負けないくらい、仲良くしようね」
「当たり前だろ?」
歩はそう言うと私の頬に軽くキスをした
「っ!」
「ふっ、真っ赤だな」
歩はそう言って意地悪く笑うと
私の頭をぽんぽんと叩いた
「じゃな。また明日」
「うん!」
私は歩の後ろ姿を見つめる
ねぇ、歩。
これからもっと、もっと絆を深めていこう
まだ始まったばかりの私たちの恋は
これからたくさんの壁に当たると思うけど
二人で乗り越えていこうね
「また、明日ね、歩」
私はそう呟いて家に入る
そんな二人の姿を見つめていた桜が
ひらひらと道路に散っていた。