君がいた夏
「歩?」
「ん?」
明美の瞳が俺を見据える。
「大好き」
「っ………あぁ、俺もだよ」
そういって、優しくキスをした。
「っ」
「………あ」
抱きしめた明美の頭に桜の花がのっていた
それをとると明美は嬉しそうに微笑んだ
「…桜」
「もう、春なんだな」
俺らはベンチから桜の木を見上げる
「綺麗…」
「…今度、桜を見に行こうか」
「うん!」
俺の肩にもたれる明美。
「その次の年も、その次も……一緒に桜を見よう」
「うん……ずっと…」
またこの桜が咲くころ
また二人で見にこよう。
大きな桜じゃなくて良い。
この公園の桜で良い。
大事なのは、隣に君がいること。
君が笑ってること。
そして、その笑顔を見てるのは俺であること
二人で肩を並べて桜並木を歩こう。
公園のベンチで肩を並べる二人を
桜は優しく見守っていた…………