君がいた夏
「………桐、どうして海に行くの?」
電車に揺られながら
私は隣に座ってる桐を見る。
「んー?お前が行きたいって言ったんだろ?」
「……軽い気持ちだったのに…」
「まぁ、たまには良いだろ」
「?」
桐はそう言うと目を閉じた。
なんか、いつもの桐じゃない気がする
いつもなら、面倒くさいとかいってすぐに学校に
送るのよね。
どうして、今日に限って海につれてってくれるんだろう?
「んー…わからない…」
私はしばらく悩んでいたけど
分からなくて首をかしげたとき
コツン
私の頭と桐の頭が当たった。
私が驚いて顔をあげると
桐の頭がそのまま私の肩につく。
「っ!」
ど、どういう状況……
「………すー…すー」
桐は規則正しい寝息をたててる。
気持ち良さそう……
このままで、いさせてあげようかな。
少し早くなる鼓動を隠しながら私は心地よい重さを
肩に感じていた。