君がいた夏
後ろには優陽がいた。
「お前、紀衣は?」
「はぁ?そんなの、俺が知ったことじゃないな」
優陽の言葉に頭に血が上る。
「まさか、一人で帰らせたのか?もう夜だぞ?」
「……そうさせたのは、お前だろうが」
「っ」
優陽は俺の胸ぐらをつかむ
「……好きなんだろ?」
「!」
「何年間一緒にいると思ってんだ。分かるよそんぐらい」
「……そうだよ。ただの醜い嫉妬だよ」
「…なぁ。本気なら、なんで俺に紀衣を任せる?なんで、逃げる?」
優陽の言葉が胸に突き刺さる。
そうだ。
俺はまた逃げてる
自分が可愛いんだ。
傷つくのが怖い。