君がいた夏


「ガキだな」

背後から声がした。
軽く鼻で笑ったような歩の声

「歩、見てたの?」
「おう。朝から良くやるよ。受験生だろ?」

歩の言葉に胸が少し痛くなる。

そうだ。
先輩は受験生なんだ…

忙しくなって会えなくなるんだろうなぁ。
そしたら、また……


私はぎゅっと目を閉じる。

「席つけー」

先生が教室に入ってきて調度チャイムがなる。
そして、朝のホームルームが始まった。

だけど、私は席についても気持ちは不安のままだった。






< 173 / 198 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop