君がいた夏
「ガキだな」
背後から声がした。
軽く鼻で笑ったような歩の声
「歩、見てたの?」
「おう。朝から良くやるよ。受験生だろ?」
歩の言葉に胸が少し痛くなる。
そうだ。
先輩は受験生なんだ…
忙しくなって会えなくなるんだろうなぁ。
そしたら、また……
私はぎゅっと目を閉じる。
「席つけー」
先生が教室に入ってきて調度チャイムがなる。
そして、朝のホームルームが始まった。
だけど、私は席についても気持ちは不安のままだった。