君がいた夏
「………懐かしいでしょ。覚えてる?」
「………はい………」
忘れるはずない。
だってここは……
私たちが出会って、恋をした場所。
「私たちの中学校…」
「うん、そうだよ」
先輩は門をくぐる
私もそれに続いて、門をくぐった。
「……ここで俺らの恋は始まったんだね」
「はい」
先輩はいま、何を考えてるんだろう?
出会った日のことを思い出してる?
それとも
別れてしまったときのことを思い出してる?
どうにもできない不安な気持ちが溢れてきて
私は先輩の手を握ってる手に力を込めた
「………こっち」
先輩は優しく笑うと
下駄箱に来た
「…ここで、君のことを初めて知った。そして、たぶん、恋に落ちた」
先輩は恥ずかしそうに言う
私は驚いて先輩を見つめる
「………そ、そうだったんですか?」
「あぁ」