君がいた夏
「俺のわがまま……聞いてもらえる?」
「はい…」
先輩が優しく私の頬に触れたまま
そう呟く
「………俺の質問に、何でも答えてくれる?」
「……え?」
「その代わり、俺も答える。何でも」
私はそこで分かった。
先輩は、何でもわかってる
私が不安なことも
だけど
言えなくなってることも。
先輩のわがままじゃない。
私のわがままだ。
「はい………」
私は、ゆっくりうなずく。
先輩は少し安心したように
私に向かって微笑んだ…