君がいた夏
繰り返し
下駄箱の前の階段に私たちは腰かけた
「……じゃあ、俺の聞きたいこと」
「はい」
「どうして、泣いたの?……どうして、最近、不安そうな顔をするの?」
私は少しためらって下を向く
「何でも答えるんでしょ?」
先輩がニヤリと笑う
私は、先輩を見つめる
「意地悪ですね」
「ははっ」
そんな顔して、笑わないでほしい…
反則だ。
「……怖かったんです」
「怖い?」
「……同じ、だったから」
先輩が首をかしげる
「…こないだの朝、先輩のバスケをしてるのを見てて、思ったんです」
「……四年前と同じだって?」
「…私は、バスケをしてる先輩を見てて、先輩は受験生で」
自分でもバカだって分かってるけど
不安になる。
「……また、離れていくんじゃないかって……夏は、悲しいだけの季節だったから…」
「………菜穂ちゃん」
「……だけど、こんなこと言ったら先輩は怒るかもって嫌われるかもって…それで言えなくて」