君がいた夏



ほんとに、どうしようもない
先輩は離れないと誓ってくれたのに。

なんで
こんな面倒くさい女になってるんだろう

「……確かに、ちょっと怒るよ」

先輩の言葉に
胸が痛くなる、締め付けられたような感覚。

やっぱり…

離れてしまった…

「だって、俺のことそんな、信じられない?」
「……………え?」

私が顔をあげると先輩は少し切なそうな表情をして
私を見ていた。

「………っ……先輩」
「そんな顔、させたくないんだけどな…」

先輩がそう小さく呟く

「先輩、あの……」
「ごめん、少し考えさせて……俺がダメだ」

先輩がそう答えた。

やっぱり言わない方が、良かったのかな…



先輩のこと信じられなかったから…
私がしっかりしてないから

「ごめん、なさい…」
「菜穂ちゃんは悪くない……ごめん」


私が悪いのに

なのに、どうして…

先輩が傷ついたような顔をするの?
どうして
泣きそうな顔をしてるの?


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