君がいた夏
「ちょ、菜穂?!」
次の朝、明美は私を見て目を見開いた。
きっと
目が腫れてたから、泣いたのがばれたんだ
こんなこと、前にもあったな
「菜穂、何があったの?」
「………」
私が口を閉じてると明美がため息をついた
「………ねぇ。溜め込むのは良くないよ?……そんな顔してる菜穂を私はみたくない」
「明美………」
「どうしてすぐ、一人で抱え込もうとするのよ」
「っ………うっ……」
明美が私の肩を抱きながら優しく撫でてくれた
私が泣いていたのもあって
明美は私を屋上につれてきてくれた
「……で、どうしたの?」
私は少し落ち着きなさを取り戻しながら
昨日の出来事を話した
「………それは、菜穂の気持ちも分からなくはないけど……先輩が傷つくのも分かるわ」
「………うん」
「菜穂…先輩は、あなたを不安にさせないためにすごい、頑張ってるのよ」
明美がそう小さく呟いた
「え?」
「………これについては、歩、話してあげなさいよ」
「うわ、ばれてた?」
歩が柱の影から出てくる
「あ、歩?!」
「盗み聞きなんて、趣味悪いわねー」
「悪いって、ちゃんと聞いてきたぞ」
「聞く?」
私が尋ねると歩は話始めた
「…明美に頼まれて、ていうか、頼まれる前に優陽先輩に会ったんだ……まさに今の菜穂と同じだったよ」
「……え…」
「……なんか、心ここにあらずでさー…ぼーっとしてて」
歩は少し可笑しそうに顔をゆるめた