君がいた夏

「……また、離れる?」

あのとき
苦しくて苦しくて仕方なかった

何よりも菜穂ちゃんを傷つけたことが悲しかった

「……好きなら、お前は菜穂を守れ。離すな」
「…っ………」
「たぶん、菜穂のことだから、自分の言葉で傷ついた優陽が離れると思ってるだろうな…」
「!」

俺が顔をあげると桐が少し真面目な顔をしてた。

「………そんなことも分からないか?」
「いや…わかってる……認めたくなかっただけだ」
「もっと素直になっていい。信じてほしいならその気持ちを言うこと……そう不安な気持ちになるような原因を作ったのは…俺らだろう?」

桐は“俺ら”といった。

「……四年前、離れなかったらあの子が不安になることはなかっただろ?」
「……あれは俺が決めたことだ」
「決めさせたのは私よ」
「止めなかったのは俺だ」

桐と紀衣が困ったように言った

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