君がいた夏
「………」
俺は、携帯を取り出して菜穂ちゃんにかける。
頼む、出てくれ…
「頼む……」
『………はい』
「菜穂?!」
『………せん、ぱい?』
菜穂ちゃんの声が震える。
こんなにも、愛しい。
離せるわけあるのだろうか。
「菜穂ちゃん、今から会いたい……」
『………はい、私も』
俺たちはあの中学の近くで会うことにした。
俺は、走り出す。
もう絶対離さない。
菜穂ちゃんを愛すると決めた日から
話すつもりなんてない。
愛することはむずかしい。
だけど
愛することは素晴らしい。
すれ違って
傷ついて
泣かせたくなんてないのに
あんな顔をさせなくないのに
君の笑ってる顔がみたいんだ。
ただ隣で輝いてる
俺には眩しすぎるくらいの笑顔を見ていたい。
いつまでも
ずっと。