君がいた夏


「菜穂!!!」

私が喫茶店に戻ると
外に出た明美と川上くんがいた。

「六藤さん、遅いですよ」
「あはは、ゴメンね」
「ホントっすよ先輩」

明美は桐さんに文句を言うと
私にかけよる

「大丈夫?」
「うん」
「そっか、なら良いんだ」

「菜穂」
「ん?」

すると桐さんが私の肩をたたいた

「なんかあったら、またメールして、メアドは変わってねーから」
「ありがとう」

桐さんはそう言うと
手をふって帰っていった

「あれ川上くんは帰んないの?」
「あ、うん。ちょっと高嶋が気になったから」
「え?」
「桐さんと話してる顔がちょっといつもと違う感じがした」
「へー、川上くん凄いね」

明美は感心したように笑う

「私ってそんな分かりやすいかな?」

顔に出てる?

明美は川上くんと顔をあわせると笑って

「わかりやすいんじゃない?」
「・・・・だよな」

2人でそう言った

「え~~~!!!」
「まぁまぁ。それより私は桐さんが誰なのか知りたいわよ」

明美は見えなくなりそうな桐さんの背中を指差して呟く

「あー・・・桐さんは、優陽先輩の友達だよ」
「なるほど」
「でもまさか、川上くんのバイト先の先輩なんて」
「すげぇ偶然だよな」

私は桐さんを見つめる

『いつか、誰かそばにいてほしいときがアイツにはくるから・・・その時優陽のそばにいてやってほしい・・・』

そんな桐さんの言葉が
頭によみがえる。

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