君がいた夏
「ふふ、馬鹿じゃないの」
「あら、本気よ?」
お母さんは笑いながら
台所で洗いものをし始める
「でも本気で好きな人ができたなら、本気でぶつからないでどうするのよ」
「・・・・うん」
「ほら。制服着替えちゃいなさい」
私は立ち上がり
部屋に行く
「あ」
メールが来てる
川上くんかな?
[川上です。登録よろしく
それとなんかあったら話は聞くよ!それじゃ]
[ありがとう。また明日ね]
私はそう文面をうって
部屋着に着替え
ベッドに横たわる
「はぁ・・・・」
先輩はいまも苦しんでて
私がそばにいる?
意味がわからない
だって
先輩は私を遠ざけた
頭がおかしくなりそうなぐらい
考えても
何も出てこない
「抱き締める、ねぇ」
私は苦笑いをこぼす
彼の苦しみすべてを
私はまだ知らない
もしかしたら先輩は
今にも崩れ落ちそうなほど
儚く、もろくなっているのかもしれない
「・・・・先輩・・・・」
私は目を閉じる
目の裏側には
まだ幼い先輩が笑ってて
目を開けて
瞳にうつる先輩は苦しそうに笑ってるんだろう
今は
ただ先輩の力になりたい
拒否されても
嫌われても
私はぶつかっていこう
あなたの影に