君がいた夏
次の日
私は朝から屋上に足を踏み入れた
「・・・・さすがに一時間目はいないかな」
フェンスにより
グラウンドを見る
「サボってしまった」
高校に入ってはじめてだ。
「サボるなって言っただろ?」
「っ!!!」
私は体を思わず揺らす
振り向くと
ポケットに手をいれた先輩が立っている
「・・・・なんでいるの?」
「一時間目をサボろうとしてる不良を見つけたから」
そう言って笑って私に歩み寄る先輩。
だけど私のとなりに腰かけると
妙に真剣な表情をした。
「桐に会ったんだろ?」
桐さんが言ったのかな。
私は小さくうなずく。
「まさか会うとはな。偶然を恨むね」
「・・・・偶然」
「そ。偶然」
先輩は軽く言う
だけど私には重く聞こえた
「で。どこまで聞いたんだよ?」
「何も。教えてくれませんでした」
「ふーん・・・」
「優陽が言わないなら言わないって・・・・」
「・・・菜穂ちゃんは知りたい?」
先輩は私の目を見据える
「はい・・・」
答えなんて決まってる
「・・・・っ」
先輩は目を見開く
だけどすぐに空をあおぐ
「・・・・中3の夏休み、俺の親が離婚したんだ」
「え・・・」
「名字が変わってた理由はそれ。よくある話だよ。・・・お互い別に相手がいた。しかも、母さんの腹には、子供がいた。親父の相手なんか親父との子をすでに生んでやがった」
先輩は小さくため息混じりに笑ってみせた